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去年六月二十二日、波佐見町勤労体育センターにて、元NHK、鈴木健二氏の講演があり、役千三百名の方が集まり、感動を受けた話を一部要約してのせます。
私たち人間は、人と人とをつなぐ素晴らしい言葉を持っています。それは「ありがとう」という言葉です。この言葉が、どんなに大切かということを一人のお母さんから教えて頂きました。 その家には、二人の男の子がいて、兄は生まれてまもなく高熱のための精神薄弱児でした。
弟が二才のとき「お兄ちゃんなんてバカじゃないか」と言いました。お母さんは、それだけは言ってほしくないと注意しようと思いましたが、弟の小さな体の中に、兄をいたわる心が芽生えるまで長い時間がかかっても待つ事にして、その日から弟の言うことをノートにつけていきました。
何度もあきらめようと思いつつ、弟も小学校に入学しました。弟の隣の席は、小児マヒで左手が不自由な子でした。体育の時間、先生は本人のためと思い、着替えを手伝いません。当然、時間も遅くなりました。 次の体育の時、先生はもう一度手をかさずにいました。するとどうでしょうか、先生が校庭へ出ると、手が不自由な子も他の子と並んで待っているのです。どうしたのかと思い、先生はその次の体育の時間に柱のかげから見ていました。そしたらどうでしょう。隣に座っていた、あの弟が、まず自分が着替え、お母さんでもむずかしい不自由な子の着替えを、一年生の子が手伝って一緒に校庭へ飛び出して行きました。
先生は、この弟をほめてやろうと思いましたが、ほめれば先生からやるんだという事になるので、心を鬼にしてだまっていました。
七夕の日、初めて父母会が開かれました。先生は教室に笹を飾り、子供たちの願い事を書いた短冊を下げさせました。 お母さん方が集まった所で、一枚一枚読んでいきました。一年生ですから「おもちゃ買って」「何のおやつがほしい」、そんな事ばかり書いてあります。読んでいくうちに「かみさま、ぼくのとなりの子のうでをなおしてあげてください」という一枚がありました。 この弟が書いたものです。先生はもうがまんができなくなって体育の時間の事を、お母さん達に話しました。
手の不自由な子のお母さんは、自分の子に申し訳ない気持ちから廊下でじっと見ていましたが、この時教室に飛び出してきて床にべったり座り、この弟の首にしがみつき、 「ありがとう、ありがとう、坊やありがとう」何度も、何度も絶叫しました。
この弟は、この先どんな素晴らしい人生を送ることができるか、また、この子の才能を引き出したお母さん、先生、これが真の教育と思います。
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