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【天の貯金】
横田 肇
 静岡県の福祉教育副読本に次の作文が掲載され、県下の小学校に読み継がれていろとある新聞に載っていた。それは、静岡県沼津巾の細谷由紀子さん一家の祈りと感謝の毎日から育てられた次女亜紀子ちゃんの書いた作文である。
 悪紀子ちゃんが作文を書いたのは、沼津市立今沢小学校五年生のとき。悪紀子ちゃんは小さい時からゼンソク気味で、風邪をひきやすかった。学校を休むこともしばしば。そんなとき心が沈んだ。しかし、京都にいるおばあちゃんがかけつけてくれて、やさしく神様のお話をしてくれると元気が出た。それは、神様は、手帳を持っていて、みんながよいことをしたらその手帳に○をつけて、それが貯まると、みんながねがいことをしたとき、きいて下さるとの話。悪紀子ちゃんはおばあちゃんのこの言葉を小さな胸の奥深く刻み込み、作文を書いたのだ。朝早く起きて、乾布まさつをしたり、体もきたえた。おばらやんに教えられた、生きる道しるべを胸に刻み作文をつづった。「人にやさしく、心をきずつけないように」と自ら語りかけたこの作文である。
 わたしの大すきなおばあちゃんはとても元気で、人を喜ばすことを自分の楽しみとした人でした。だから、まごをはじめ、親せき、そのほか多くの人からしたわれていました。わたしは小さいころ、かぜをひきやすく、ひくとぜんそくみたいなことがたびたびおきました。両親は、わたしのことを心配して夜もなかなかねむれなかったそうです。こんなわたしをはげまし、今のようにじょうぶな子どもにしてくれたのは、わたしのおばあちゃんでした。

 その日もわたしはかぜをひき、学校を休んで家にねていました。(友達といっしょに遊びたい。友達のように元気になりたい。)そんなことをひとり考えていると、自然になみだが出てきました。いつのまにかなきつかれて、またねむってしまいました。それからかなり時間がすぎて、ふと目をさますと、わたしのまくらもとにおばあちゃんがすわってやさしい目でわたしを見ていました。「あきちゃん、気分どう」と話しかけてきました。「ねえ、あきちゃん、神様は一つの手帳を持ちながら、遠い空からあきちゃんたちのおこないを、ちあ1んと見守っているのよ。その手帳にはいいことをしたらOをつけるの、その○をためていくと神様は人の願いことを聞いてくれろの、だから人に親切にしたり、人を喜ばせたり、人の手助けをしたりすることがOをふやすことにつながるのよ。とくに体をじょうぶにして親を露ばすことは、ほかのことよりたくさん貯金ができるのLこのおばあちゃんの話は、わたしの病気に対する心のささえとなりました。わたしはこの話を、自分で「天の貯金」と名づけました。そのことがあってから、わたしは今まで一度もしたことのないものに取り細むことにしました。まず、朝早く超きてかんぷまさつをします。庭でなわとびも始めました。体をきたえていくことがわたしの日課になりました。今まで少しのことで見学していた体育の時間も、おばあちゃんの話を思い出してがんばりました。また、人にやさしく、心をきずつけないようにし、思いやりを持って友達とつき合うようになりました。

「天の貯金」の話は、わたしの道しるべです。つかれて、何もかもほうり出したいとき、友達がいやなことをしたとき、おばあちゃんのことばがすぐ頭にうかんでくるのです。おばあちゃんは今はいません。しかし、わたしは「天の貯金」をふやすため、人に穀切にしようと心がけています。


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