糖尿病による合併症を進行させないためには、
まず日々の血糖値のコントロール状態を良好に保つ必要があります。
血糖値は高すぎてもいけませんが、低すぎて低血糖をおこしても困ります。正常人ではだいたい空腹時血糖で60〜110mg/dl前後、食後2時間後の血糖で140mg/dl以下ぐらいの血糖値となります。
糖尿病の患者さんの場合は、この値よりも血糖値が高くなります。通常、血糖値がかなり高く合併症が進行しやすい状態になっていても自覚症状はありませんから、評価のためには血液検査が不可欠といえます。
糖尿病と診断された患者さんの場合、空腹時血糖で120mg/dl以下、食後2時間後の血糖で170mg/dl以下をコントロールの目標にする事が多いと思います。
ただし、実際には患者さん個人個人の状況を判断して、それぞれにあった治療目標を定めるので一律にこの目標値になるとは限りません。また、低血糖の危険なく正常に近い値を達成できる人は、極力正常値に近づけることを目標とすることは言うまでもありません。
血糖値は時々刻々と変化しているため、
たまに受診した際の血糖値だけでは血糖コントロール状態の正確な評価は困難です。そこで、この変動を平均化して、より長い目で見た血糖の平均値を知るために、「グリコヘモグロビン(HbA1c)」という検査が行われます。
赤血球の中にあって、酸素を運搬する役目を担うヘモグロビン(血色素)とブドウ糖が触れると徐々に結びついて「グリコヘモグロビン(HbA1c)」に変化していきます。高血糖状態があると、その程度や持続期間に応じてグリコヘモグロビンの割合が増え、その値は現在からさかのぼって1〜2ヶ月間の血糖コントロールの善し悪し(平均)を反映するといわれています。
正常人では、HbA1cの値は4.9〜5.8%ですが、糖尿病の患者さんでは6%以上に上昇し、なかには8%以上になる患者さんも結構おられます。そうなると合併症の出現の危倹性はかなり高くなると考えるべきです。
長期的にみた血糖の平均値を知る検査がない時代は、
受診する数日前から極端な食事療法を行って、一時的に血糖値を下げて検査にのぞむ患者さんが多くあったそうです。今はそんなことをしても、HbA1cを測定すればすぐにインチキがばれますので、良好な血糖コントロールを得るためにはやはり日頃から地道に努力を重ねる必要があります。
糖尿病治療における血糖コントロールの指標を表に示しました。合併症を予防するためには「優」「良」の評価のグループに入るようにコントロールしてきましょう。
国立病院長崎医療センター 木村先生より提供